なぜ“氷水アイシング”が必要なのか
当院では、痛みや炎症のある患者さんに氷水でのアイシングを行っていただいています。
「保冷剤やアイスノンじゃダメなんですか?」という質問をよくいただきますが、そこには体の回復を左右する大きな理由があります。
人間の体は約60〜70%が水分でできています。
だからこそ、冷やすときにも「水」で冷やすことが最も自然で効果的なのです。
氷水が優れている理由は“比熱”にあります。
氷は溶けるときに大量の熱を吸収する性質を持っており、体の熱をゆっくり・均一に奪ってくれます。
これによって、皮膚の表面だけでなく、筋肉や関節の深部までしっかりと冷却することができるのです。
一方、保冷剤やアイスノンは温度が低すぎて皮膚の表面が低温やけどの恐れや熱吸収が非効率です。
そのため、冷やしているのに「深部が冷えない」「また痛みが戻る」といったことが起こります。
氷水は体温とのバランスが取れた自然な冷却法であり、体にこもった熱を安全に逃がす最適な方法です。
人間は恒温動物です。
常に体温を一定に保つために、熱を作り、放出し、バランスを取っています。
しかし、炎症が起こるとそのバランスが崩れ、局所的に熱がこもります。
氷水でのアイシングは、この熱を外から手助けして逃がし、体が自分で回復できる環境を整えるための行為です。
また、筋肉や血管などはすべてたんぱく質で構成されています。
たんぱく質は熱に弱く、熱がこもると“たんぱく変性”を起こしてしまいます。
焼肉を焼いたときに肉が硬くなるのと同じ現象です。
筋肉が熱で硬くなると、赤血球が通りにくくなり、酸素や栄養が届かず、治りが遅れるという悪循環に陥ります。
そのため、「温めて揉む」という行為は、筋繊維を破壊してしまう危険なケアでもあります。
一時的に気持ちよくても、内部の筋肉はダメージを受け、結果として回復が遠のくことがあります。
炎症や痛みがある時期には、まず“冷やす”ことで熱を抜き、組織を守ることが大切です。
氷水アイシングは、最低でも30分が基本です。
10〜15分では皮膚表面しか冷えず、深部の炎症には届きません。
氷と水を一緒にして0℃前後を保つことで、体にやさしく深部を冷やし、筋肉・血管・神経を守りながら炎症を鎮めていきます。
冷却後には血流が整い、自然治癒が促進されます。
この考え方は、急性痛だけでなく慢性痛にも同じように当てはまります。
慢性腰痛でも、そこには必ず「熱の滞り=循環の乱れ」が存在しています。
温めて誤魔化すのではなく、余分な熱を抜き、体をリセットする。
だからこそ──
慢性腰痛であろうが、当院は冷やします。
痛みを取るためではなく、体を整えるために冷やす。
それが、当院が“氷水アイシング”にこだわる理由です。
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神戸市長田区・新長田駅周辺で腰痛・肩痛・膝痛・首痛などでお悩みの方へ。
痛みの根本改善を目指すなら、まず“体の熱を整える”ことから始めましょう。
氷水アイシングで、本来の回復力を取り戻すサポートをいたします。