冷えが痛みを作るメカニズム|新長田駅 齋藤接骨院

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●体温を守るために起こる「対交流熱交換」

人は恒温動物であり、外気温が下がっても体の中心温度(深部体温)を一定に保つ働きを持っています。
その際に行われるのが「対交流熱交換」と呼ばれる生理現象です。
これは、体の中心から末梢(手足)へ流れる血液と、末梢から中心へ戻る血液が熱を交換し合う仕組みです。外気温が低下すると、体は熱を逃がさないように血管を収縮させ、体内の熱を守ろうとします。

ところが、この防御反応が強く出すぎると、熱を運ぶはずの血管が閉じ、体内に熱がこもってしまうのです。



●熱がこもると「圧力」が高まる

熱力学の観点から見ると、体内で熱がこもると、その部分の内圧(内側からの圧力)が上昇します。
一方で、外気温が低いため皮膚表面や筋膜周囲の外圧は低いまま。
この「内側と外側の圧力の不均衡」が、痛みや違和感として感じられる大きな原因のひとつになります。

いわば、熱を逃がせず膨張しようとする状態が、筋肉や関節の周囲で圧を生み出し、それが痛みの刺激として脳に伝わるわけです。
これが「冷えたら痛くなる」「冬になると古傷が疼く」といった現象の根底にあります。



●だからこそ「熱を奪う」ケアが必要

ここで重要なのは、「冷えたから温める」ではなく、“こもった熱を逃がす”ことです。
痛みの出ている患部は、多くの場合“冷えているようで中は熱を持っている”状態。
この熱をうまく排出してあげることが、症状改善のポイントになります。

そのための方法として効果的なのが次の3つです。

①氷水を使ったアイシング
 冷却によって内部の熱を奪い、深部の循環を促します。
 
② 軽い運動で汗をかき、熱を放出する。
 筋肉が動くことで体温調整機能が活性化し、体内にこもった熱を自然に外へ出すことができます。
歩くことがおすすめです。

⓷ホットタオルの“気化熱”を利用する
 一見「温める」ように感じますが、蒸気が蒸発するときに周囲の熱を奪う「気化熱効果」により、体の余分な熱を逃がしてくれます。



●カイロより「お湯」を

もしどうしても体を温めたい場合は、カイロよりもお湯を使った温熱法のほうが効果的です。
カイロは表面を一時的に温めるだけで、深部の循環改善にはあまりつながりません。
一方、お湯は水の比熱が高く、体の芯から穏やかに熱を伝えるため、体温調節機能を助けながら冷えを和らげてくれます。
ただ過度な加温は体の細胞をはじめ、負担が加わります。
控えるようにしましょう。



●まとめ:冷えと痛みは「熱と圧のバランスの乱れ」

冬に腰痛や膝の痛み、肩の痛みが強くなるのは、単なる季節のせいではなく、
体内の熱・圧・循環のバランスが崩れているサインです。

冷えた時こそ、
 • 熱をこもらせない
 • 血流を滞らせない
 • 運動・アイシングで適切に放熱する

この3つを意識してケアすることで、痛みを予防・軽減することができます。



体は常に様々なバランスを取りながら健康を保っています。
腰痛・膝痛・肩の痛みなどがある方は、ぜひ今日から“熱を逃がすケア”を意識してみてください。
冬の痛みは、正しく理解すれば防ぐことができます。